骨と骨をつないでいる関節部分で、骨が本来の位置からずれてしまった状態。一般的には肩、肘、顎、股、膝などに見られ、疾患によるものと強い衝撃などによる外傷性のものがある。
しばしば骨折を合併することもあります。
ぶつけたり捻ったりして起こる外傷性脱臼、関節の変形や関節炎などを原因として起こる病的脱臼、生まれつきの先天性脱臼があります。
肩関節、肘関節、股関節脱臼が多く、特に肩関節は脱臼を繰り返す反復性脱臼となることがあります
一方の関節面と、他方の関節面が完全に転位した脱臼
関節面が部分的に対応を残して不完全に転位した脱臼
元の骨が、どちらに脱臼したかを表します。
前方脱臼
後方脱臼
上方脱臼
下方脱臼
側方脱臼(内側脱臼、外側脱臼)
中心性脱臼(内方脱臼)
1か所の関節が脱臼したもの
1本の骨の中枢と末梢の2か所が脱臼したもの
2か所以上の関節が同時に脱臼したもの
皮下の中での脱臼
皮下の外まで飛び出した脱臼
外力が直接関節に働き、その部位が脱臼したもの
外力が他の部位に誘導されて離れた関節が脱臼したもの
出生前による脱臼
出生後による脱臼
繰り返し外傷で脱臼するもの
明らかな外傷がないが、骨の発育障害や関節の弛緩、心因性で脱臼するもの
患者の意思で自家筋力によって脱臼するもの
転倒や衝突による衝撃などの外傷で、関節に大きな力がかかると脱臼することがあります。最も脱臼しやすいのは、肩関節です。スポーツをしている最中に転倒して腕を伸ばして手をついたときや、ボールを投げたりラケットを振ったり、大きく肩を動かしたときなどによく起こります。肩以外では、あごやひじ、指など、よく動かす部分にみられます。
幼児期の骨髄炎や関節炎では、炎症によって毛細血管などから分泌される滲出液が関節を覆う関節包に溜まることで、関節包が広がって脱臼が起こることがあります。また、ポリオなどの神経麻痺や脳性麻痺によっても脱臼を引き起こすことがあります。その他、生まれつき大腿骨を支える骨盤側のくぼみの形が悪いと股関節の脱臼を起こしやすくなります。
外傷性脱臼では強い痛みや腫れがみられます。
関節の正常な可動性が失われ、無理に動かそうとすると痛みと抵抗があり、力を抜くとバネのように元に戻るバネ様固定(弾発性固定)や関節部の変形、手足の長さの短縮などがみられます
外れた関節をなるべく早く正確な位置に戻す整復を行うことが大切。整復には手で引っ張って行うなどの方法と手術によって行う方法がある。整復後は患部を安静にするため固定し、回復がみられたらリハビリテーションで周辺の筋肉の強化を図る。脱臼を繰り返してしまう場合や骨折を伴う場合などは手術的治療を追加することもある。
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